猫の細道とは

「猫の細道」とは尾道で一番古い「艮神社」(うしとらじんじゃ)の向かって左脇を進み、突き当たった場所から左右に続く200メートルほどの細い路地のことを言います。
まるで艮神社のクスノキにまもられているようにひっそりと続いています。

尾道は猫の町

尾道はさまざまな○○○の町という肩書きを持っています。
物流の町、坂が多い町、文学の町、芸術の町などなど…
近年では「猫の町」としても知られています。
漁港があり、坂道や小さな路地も多いため、昔から猫が多くいましたが、
空間プロジェクト「尾道イーハトーヴ」の主催であり芸術家、
園山春二氏の企画「猫の細道」をきっかけに猫好きの方の注目を集めるようになりました。

なぜ「猫の細道」なのか

作家・宮沢賢治氏と縁のある園山氏は、宮沢賢治が掲げた理想郷(イーハトーヴ)を尾道に創ることを決めました。
「尾道イーハトーヴ」は宮沢家からも公認されており、不定期で宮沢賢治氏に関するイベントを共同で行っています。

宮沢賢治といえば東北、岩手が関係しますよね。
岩手にゆかりのある「奥の細道」をもじって「猫の細道」となったのです。

古民家を改修したカフェ、バー、小物ショップ、美術館、庭園などが猫の細道ぞいに建ちならびます。

園山氏の古民家改修へのこだわりは「創造と再誕」。
ほぼ廃屋になった家屋ほど、尾道イーハトーヴの理想に近づく宝物となります。
尾道イーハトーヴのシャトー(再生古民家)は猫の細道でつながり、猫の通りみちとなっています。
そして代々多くの猫達が住みつき、訪れる人びとを癒やす場所として親しまれています。

猫の細道は今もなおさまざまな構想が形になり、訪れるたびに新しい発見があることでしょう。

福石猫

園山春二によって生み出される丸い石に描かれた猫です。
猫の細道を中心に町中に置かれ、現在では1000匹以上の福石猫が尾道各所にすみついています。
中には恋愛成就、健康回復といった不思議な力を持つ福石猫、
CMに出る子、旅に出てしまう子など、さまざまな福石猫が生まれています。
福石猫の里親を探しています

里親になりたい方はこちら

階段猫アート

尾道イーハトーヴでは自然と共存できる環境アートを見つけることができます。
階段のひび割れを猫の姿にみたてた絵は、足元をしっかり見て歩いてくださいとの心遣いでもあります。
階段猫アート

イーハトーヴの猫達

尾道はもともと猫が多い港町です。
その中でも猫の細道には猫のみちが複数あり、代々多くの猫達がすみついています。
尾道イーハトーヴでは彼女たちに名前をつけて長い間みまもっていて、
ホームページやブログを見た猫ずきな方が彼女たちに会いにたくさん訪れています。

地域猫さんたち

尾道では人と猫が快適に暮らせる「地域猫活動」に取り組んでいます。
猫の細道を自由に動き回る猫たちのほとんどが「地域猫」さんです。
尾道イーハトーヴでも、お世話しています。

飼い猫さんたち

「尾道イーハトーヴ」の最新スポット、豪雨災害時に残った瓦礫を活かして創り上げた「猫の楽園」には飼い猫がいます。
写真家の岩合さんにも撮影いただいた「あられ」「あんず」「あんこ」は猫の楽園のアイドル。交代で店長をお願いする時もあります。

時々、

首輪で繋がれている猫がいた。
ゲージに入れられてかわいそうだ。
というお声を聞くこともありますが…

3匹は「家猫」のような「猫の楽園猫」なのです。
家猫さんは家から出さないようにして保護できますが、猫の楽園には壁がありません。
尾道の路地・山の奥には野犬がいて、襲われる猫が多く、猫の楽園でできる限り自由に動けるよう工夫し、保護しています。

NYAHANの庭と猫涅像

2020年、尾道イーハトーヴの猫の細道に新名所が誕生しました。
「猫涅像(にゃはんぞう)」はその名前のとおり「涅槃(ねはん)」に由来していますが、入滅など死のイメージではなくお昼寝している黒猫です。
新型コロナが流行する中でも猫が寝ているようにおだやかな気持ちを忘れないようすごしてほしいという想いがこめられています。

 

「NYAHANの庭」は西日本豪雨災害で発生したがれき置き場としていましたが、

“がれきの山を見て宝の山、
もったいないと思った
全部片付けてしまうことだけが復興ではない
ということを伝えたかった”

という園山。

片付けと並行して「猫涅像」「NYAHANの庭」の制作がはじまりました。
いずれも豪雨災害で発生したがれきを活用していて「猫涅像」が横たわる築山には200個分の土壌、
アプローチやオブジェ、垣根、花壇の縁取りにもたくさんの瓦が使われています。
「猫涅像」の黒は魔除けの意味もあり、コロナ退散を祈願。
コロナが落ち着いたあとは、別の色に塗りかえられるかもしれません。
※取材いただいた尾道新聞様の記事を編集して掲載しました。


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